中国の民間物語・後羿、太陽を射る
皆さんこんにちは、「songyun.org中国語教室」というコーナーを始めました。このコーナーでは中国に関する知識や中国語の勉強方法などをご紹介いたしますので、このウェーブサイトを有効にご利用していただき、この中国語教室が皆様のお役にたちますように心より願っています。
私も日々日本語と英語を勉強していきたいと思っておりますので、今後とも、よろしくお願いいたします。
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Submitted by whenis on 土, 07/18/2009 - 16:49
太古の時代、空には十個の太陽が同時に昇り、その強い日差しは大地を焼き焦がし、畑の作物は枯れ、人々は暑さのために息もできず、次々と気絶して倒れていった。また沢山の妖怪や猛獣たちも、枯れた湖や蒸し暑い森林から現れ、人々に害を与えていた。
人類がこの災難を受けたことは天帝を驚かせ、天帝は弓の神である後羿に下界に降りて、人々をこの災いから救うように命じた。後羿は天帝から授けられた赤い弓と一筒の白い矢を持って、美しい妻の嫦娥と共に人間世界へとやって来た。
後羿が下界すると、まず、十個の太陽が一度に昇って強すぎる日差しで大地を焼け焦がすのではなく、毎日交代で昇ることにより、大地に適当な光と温さを与えるよう太陽たちを説得したが、太陽たちはこれに耳を貸さなかった。これに怒った後羿はついに太陽を射落とすことにした。彼は赤い弓を手に、白い矢を放ち、10個ある傲慢な太陽の9個を射落としたので、空には一つの太陽だけが残り、安楽に暮らすことが出来てた人類は、自分たちを助けた後羿に心から感謝した。
しかし後羿のこの功績は、他の天の神たちに嫉妬され、彼らは、後羿を遠ざけるよう天帝に讒言したので、天帝はついに後羿が、再び天に戻ることを許さなかった。このような不遇に中で後羿は妻の嫦娥と共に仕方なく下界で隠居し、狩りに頼って貧しい暮らしを送っていた。
その後、自分の巻き添えをくらい下界で暮らさねばならなくなった妻にすまないと思った後羿は、昆侖山に住む神の西王母が不思議な薬を持ち、その薬を飲めば、天に昇れるということを知った。そこで彼はこの薬を手に入れるため多くの山や河を越え、やっとのことで昆侖山に辿り着いたが、残念なことに、西王母のところには、薬は一人分しかなかった。後羿は自分だけが天にもどり、愛する妻を置き去りにしたくはないし、妻一人だけを天に帰すのもいやだったので、仕方なくその薬を家に持ち帰り、こっそり隠した。
しかし妻の嫦娥は人間社会での貧しい生活に耐え切れず、後羿が留守の間にその薬を見つけ出し飲んでしまった。すると嫦娥は体が軽くなっていくのを感じ、悠々と空へと昇って月に行き着き、広寒宮に住み着いた。こちら後羿は妻が自分の元を離れて天に帰ったことを知って大いにを心を痛めたが、妻を射落とすこともできず、仕方なくそのまま別れた形となったのであった。
一人になった後羿は狩りを続けながら、弟子を受け入れ弓術を教え始めたが、逢蒙という弟子は進歩が早く、その腕もどんどん上達した。しかし、この逢蒙、驕り高ぶりはじめ、師匠の後羿の存在が邪魔となったので、天下一になるため、ある日、後羿が酒に酔ったことを機に、後から後羿を射殺したのだった
一方、嫦娥は月に着いたが、そこには薬を搗く一羽の兎と一人の木を切る老人しかいなかった。彼女はかつて夫と過ごした楽しい日々と人間社会の温情を思い起こし、今の孤独と惨めさが一層身にしみたが、仕方なく月宮で憂鬱な生活を送っている。
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